小さい頃、卵かけ御飯は禁じられていたものです。ナマモノであること、腐りやすいこと等々の衛生面からでしょう。唯一許されたのは、よく利用していたコープこうべの宅配サービスで新鮮な卵が手に入った近々の日だけ。
大人になっても、卵かけ御飯をいただくのは購入直後くらい。黄身も白身もごた混ぜの場合もありますし、ご飯には黄身だけ、白身はお味噌汁に使うこともしばしば。卵かけ御飯をTKGと略して拘りの食べ方がメディアに取り上げられて大分久しいものですが、個人的には特に卵とか醤油に拘ったりはしません。手軽に小腹が空いた時に頂く美味しい一品という位置付け。
もっとも、お茶漬けやふりかけもマナー的にどうなの?という躾の厳しい家庭に育ったので、卵かけ御飯が許されるなんて本当に時々。僕以上に卵かけ御飯が好きで物怖じしない妹は勝手気ままに、親の顔色を常に伺っていた僕は恐る恐る許可を得るといった具合。
毎日しっかりと美味しいご飯を作ってくれていた母親には申し訳ないのですが、時々食べられる卵かけ御飯をある種のご馳走的な感覚で食べていたのは内緒なこと。
大人になって大切な人と二人暮らしな時に、夜に帰宅して台所シンクに昼に食べたであろう少し乾いた卵かけ御飯の後の茶碗が残っていると、少しホッとするような羨ましいような感覚を抱くものです。
あり合わせの食材で、僕では思い浮かばない美味しい夕食の準備に取り掛かってくれている大切な人に、卵かけ御飯で良いよ…とも言えないもの。やっぱり卵かけ御飯は小腹が空いた時にサッと食べるもので、いつもの美味しいおかずあってのたまの卵かけ御飯は美味しいということ。それでもね、時々無性に「ごちそう」卵かけ御飯を食べたくなるものです。